第一声
>>『宴の始末』p280 / p383『お嬢さん─ 人を探してる?』
黒川玉枝、という女を覚えていないとキクちゃんに繋がらない。
や。勝手に繋がられちゃ困る。
この女、キクちゃんにいきなり拾われて世話やかれて、まさしく「あんた、一体何様のつもりよ、きいいいいいいいッ!」的な目の上のたんこぶ。が、実はただの内藤の内縁の妻。というか
『ま、紐だよね。ああ、御免ね、いいでしょ本当の事なんだから』
なのだそうだ。
そんなことはどうでも良い。
『お嬢さん─ 人を探してる?』
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姑獲鳥における榎さんの、「起きているとも!」というシリーズ第一声もかなりインパクトが強いけれど、これに勝るとも劣らない、記念すべきキクヲ初台詞(実際のとこ、これの前に「あのう」と言ってはいるけど)が、この
『お嬢さん─ 人を探してる?』
である。
お嬢さん。お嬢さんお嬢さんお嬢さん。
相手にある程度の敬意を見せつつ、大人の女性に対しちゃやっぱりどっか見下しているようなこの慇懃無礼な態度。
司喜久男っぽい。素敵だ。
『お嬢さん─ 人を探してる?』
実際人捜しで忙しい時、見ず知らずの男(しかも怪しげ)に、こんな風に声をかけられたらまずはり倒すだろう。
そうじゃなくても警戒するに決まってる。わざわざ警戒心を与えるような言い方で暗がりから現れる。
もしかしたら喧嘩を売られているのか。
それとも単にひっかけられているのかもしれない。否。
『得体は知れぬが人懐こい顔ではある。』
この無邪気さに更にやられる。
『お嬢さん─ 人を探してる?』
とてもステキ。
この一言で腰が砕けるようならあなたも立派な司狂。『お嬢さん─ 人を探してる?』
それより夢の中で踊りませんか、司さん。
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